神功皇后の「神のような功績」を考えた時、気づきました。
| 仲哀天皇 | :人と人との間を取り繋ぐ、切なくて胸がつまる天皇 |
こんな名前、誰が名づけたのでしょう?
古事記には、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇等々、このような天皇の呼称は一言も書かれてません。どうやら私は予断を持たされてたようです。
今一度、頭を白い紙にして考えてみます。
| 仲哀天皇 | :帯中日子(タラシナカツヒコ) |
| 神功皇后 | :息長帯比売命(オキナガタラシヒメノミコト) |
| 応神天皇 | :品陀和気命(ホムタワケノミコト) |
古事記に記載されている原文と比較しました。原文をよくご覧ください。
「陀和気(たわけ)と比売(ひめ)」だけ音仮名。その他の漢字は、全て意味を持ってます。
帯中日子「帯の中の日の子」
息長帯比売命「息の長い帯の姫」
これのどこから、仲哀天皇/神功皇后という呼称が出てくるのでしょう?
調べてみると、淡海三船(おうみのみふね)という奈良時代後期の皇族が、天皇の諡(おくりな:死後に奉る、生前の事績への評価に基づく名)を名づけたそうです。名づけた時期は、8世紀後半。古事記に書かれた帯中日子が仲哀天皇と呼ばれるようになったのは、半世紀後の話だったんですね。
淡海三船、記紀にかなり精通した人です。品陀和気命(ホムタワケノミコト)、ここからどうして、「応神天皇」という諡(おくりな)が出てきたのでしょう?
淡海三船は、歴史の真実を知ってたんです。天智天皇(中大兄皇子)の玄孫(やしゃご)だった淡海三船は、ひいおじいさんの娘、元明天皇に献上された古事記に書かれた真実を知っていた。そうでなければ、
| 初代 神武天皇 | :神のような武力を持つ天皇 |
| 第10代 崇神天皇 | :神を崇め奉る天皇 |
| 神功皇后 | :神のような功績を立てた皇后 |
| 第15代 応神天皇 | :神にふさわしい天皇 |
4人だけに「神」という諡を付けられない。この4人が天皇史の中でも、特別な功績者であることを知っていた。ついでに言うと、
| 天智天皇(中大兄皇子) | :天下を物事よく理解する天皇 |
| 天武天皇(大海人皇子) | :天下を武力で支配する天皇 |
全ての天皇の諡を調べる暇はありません。ここは仲哀/神功/応神に絞って検証します。
まず、仲哀天皇こと帯中日子(タラシナカツヒコ)。「帯の中の日の子」と、古事記に書かれています。「日の子」、太陽の子だってさ。そう言えば、天若日子(アメノワカヒコ)、阿遅志貴高日子根(アヂシキタカヒコネ)など、「日子」という名前はよく出てきましたね。特に「高日子」、特別な神様の名前でした。おそらく卑弥呼(日巫女)の子供、「邪馬台国(=九州)と関係のある神様」という意味なのでしょう。
次に、神功皇后こと息長帯比売命(オキナガタラシヒメノミコト)。「息の長い帯」ということは、帯の中の日の子は、「長い帯の中」に巻き込まれてますね。
淡海三船は、帯中日子が息長帯比売命に巻き込まれた意味を知っていた。そうでなければ、仲哀天皇という諡は付けられない。
神功皇后の功績は前述の通り、(血統は断絶したが)これまでの文化は断絶させなかったことでしょう。応神天皇の母親というだけでは、神のような功績を立てたことにはならないから。もちろん、百済との国交を開いた功績もあるでしょう。
そして、応神天皇こと品陀和気命(ホムタワケノミコト)。決して絵空事で名づけられた諡ではない。古墳の巨大化がそれを物語ってます。
おそらく淡海三船は、品陀和気命の「品(ほん:皇族の位のこと)」の意味を知ってたのでしょう。だから「神にふさわしい位の天皇」という諡を付けた。
このような「後付けの諡」に、私は惑わされてました。稗田阿礼が諡を知ってた筈がない。知ってたのは、あくまでも「帝紀/旧辞」という歴史書。そこに神話のベールをかけた。
暗闇殺人事件の真意
稗田阿礼は神武天皇の血が途絶え、応神天皇が実質的な初代天皇であることを知っていた。
帯中日子軍(=九州の軍!?)と、息長帯比売命軍との皇位継承争いの記録は、帝紀か旧辞(おそらく帝紀)に残っていた。結果、息長帯比売命軍が「だまし討ち」で勝利したことが記録されていた。
戦争の記録は、必ず残っていたはずです。歴史書とは、ぶっちゃけ「戦争の記録」を残すためのものだから。
とにかく神武天皇の血は断絶している。現在の天皇(元明天皇)とは、血のつながりは無い。
「これは好都合!」
稗田阿礼は、神託中に琴切れるという「帯中日子暗闇殺人事件」を創作する。次に、息長帯比売命が腹に(長い帯で)石を巻いて三韓征伐するという大ウソも、広開土王碑に刻まれているような史実に基づいて創作した。理由はお察しください、特に大国主様。
そして品陀和気命の「品」に禊ぎをさせ、スクナビコナの醸造した酒で乾杯!
「大国主様、我々はあなたの敵ではありません。どうか祟らないでください」
この物語は、史実に基づいたフィクションです。